ご存じですか?
「過去にコンタクトレンズ」訴訟
過去にたった一度でもコンタクトレンズを処方すると、その患者さんについては、その後、一生再診料算定しか認められなくなってしまいます。
その患者さんが、自己都合でコンタクトレンズの定期検査に来なくなってしまっても、そして未受診の期間がどんなに長くあっても、その後の受診目的がコンタクトレンズとは全く関係ない新たな疾患の発生によるものであっても、また患者さんが同じ眼科を受診した場合は、初診料の算定は認められず、一部の検査も、実施しても0点にされ、眼科は無料で行うことを強いられます。
これは、きわめて不合理です。
私たちは社会保険診療報酬支払基金を提訴しました
―― 問題の背景 ――
私たちは、東京の眼科クリニックです。
過去にたった一度でもコンタクトレンズを処方すると、
その患者さんについては、その後長期間受診がなくても、
その次に受診した際にコンタクトレンズとは全く関係のない症状でも、
永遠に再診料しか算定できなくなり、非常に不合理な算定をされます。
この問題は長年眼科を悩ませてきました。
令和5年1月、ある患者さんが「視力低下」と「緑内障の疑い」で、前回受診から4年3か月ぶりに当院を受診しました。その方は前回4年3カ月前の受診が完全な初診で、その時に「コンタクトレンズ処方を希望」され処方しましたが、その後一度も定期検査にいらっしゃっていませんでした。もちろん、4年3カ月ぶりの受診となる今回も、その患者さんはコンタクトレンズの検査を希望されませんでした。
そこで、私たちは、現時点における視力や緑内障所見の有無などの「新たな診立て」が必要と判断し、診察料としては初診料を算定し、現時点での正確な矯正視力を測定するために、屈折検査・角膜曲率半径計測を実施しました。
ところが、社会保険診療報酬支払基金は、この患者さんについての4年3か月ぶりの診療が「再診」であるとして、「初診料288点」→「再診料74点」に減点
そして、
「再診」時に実施することは”医学的に過剰である”として、
屈折検査・角膜曲率半径計測 計153点→0点に減点
合計367点分の診療報酬の支払いを拒否したのです!
しかし、これは常識的に考えて不当です。
「新たな診立て」が必要なのに、なぜ「再診」なのか?
仮に、過去にコンタクトレンズを処方したことがなければ、
この場合の診察料は「初診料」になりますし、
屈折検査・角膜曲率半径計測も必要な検査として当然に算定が認められます。
令和5年4月、私たちは、徹底した調査を行いました。
そして、このような不合理な算定をしているのが、社会保険診療報酬支払基金だけであり、
国保連合会はこのようにしていないことを発見しました!
さらに、同じ社会保険診療報酬支払基金の中でも、地方によっては、同様の場合に国保連合会と同様に、このような場合に初診料算定と屈折検査・角膜曲率半径計測を算定していることが分かったのです。
医療の値段は全国で同じであることが建前です。それなのに、患者さんの保険証が社保か国保か、また、医療機関の存在する場所がどの都道府県かによって、同じ医療行為に対する診療報酬が1件で3670円(現在は3770円)も違ってしまって良いわけがありません。
私たちは、支払基金に誤った審査を止めるよう求めてきましたが、支払基金は全く改善しようとせず、私達からの問合せを無視し続け、その後も同様の事例について診療報酬の不払いを続けました。
そこで、令和5年11月、私たちは支払基金を提訴しました。